書籍内容
纐纈厚[著]
四六判上製/240頁/2400円+税
ISBN978-4-8461-2204-1 C0031
いま、リベラリズムが危うい。米中対立、台湾有事などを背景に強化される日米同盟。日本の対米従属化に拍車がかかる。同時進行するかのようにリベラリズムが劣化していく。それは日本に留まらない。リベラリズムと真逆の強権政治や大国の覇権主義が世界の脅威となっている。ロシアのウクライナ侵攻が、その実例だ。本書は、そうした最近の動きを視野に入れながら、米中対立から安保・歴史問題に触れていく。そこから、リベラリズム再興の方途を探る。
■内容構成
まえがき――「絶対非戦」と「絶対平等」を求めて
【課題と提言:外交防衛問題】
第一講 米中対立と台湾有事をめぐって~中国脅威論が結果するもの~
はじめに── 作為された脅威論を越えて
1 「中国脅威論」の真相を探る
〝反中同盟〟の成立か
メディア報道の偏かたより
連綿と続く「脅威論」
「脅威設定」のプロセス
台湾の現状と対中国姿勢
中台関係のこれから
拍車かかる自衛隊の南西諸島配備
日本列島が米本土防衛の盾に
相次ぐ自衛隊の新装備と尖閣諸島問題
尖閣問題の背景
2 鬩せめぎあう米中の軍事戦略を追う
立ち位置を変えるアメリカ
アメリカを盟主とする多国間同盟
変容するアメリカの軍事戦略
高度化するミサイル・システム
変わりゆくアメリカの作戦計画と自衛隊
中国をライバル視するアメリカの理由
3 台湾有事問題を問う
台湾有事は起きるのか
台湾有事問題と日本
アメリカの軍事戦略を拒否する動き
【課題と提言:安保問題】
第二講 あらためて新安保法制の違憲性を問う~戦争への敷居を低くする危うさ~
はじめに――「山口新安保法制違憲訴訟」の原告として
1 新安保法制法の危険性を訴える
新安保法制法は違憲
平和を壊す新安保法制法
前提としての〝脅威〟の実態は
北朝鮮をどう見るのか
日米同盟こそ脅威ではないか
文民統制をめぐる問題
平和を守り抜くために
2 戦争放棄を棚上げする新安保法制法
自衛隊加憲論は何をめざしているのか
「戦力」を憲法に記載する意味
文民統制の破壊による自衛隊の軍隊化
現代の〝大本営〟としての「統合作戦室」創設構想
「新防衛大綱」を読み解く
3 新安保法制法で形骸化する文民統制
文民統制と文官統制
自衛官の政治的位置
文民統制からの逸脱
自民党の改憲案に参画する自衛官
憲法遵守義務を怠る行為
自衛隊が憲法番外地に
【課題と提言:歴史問題】
第三講 東アジア諸国民とどう向き合っていくのか~アジア平和共同体構築と歴史和解への途~
はじめに──歴史和解が平和実現の前提ではないか
1 歴史を問い直すことの意味
アジア平和共同体構築の展望
勢い増す右翼の動き
歴史認識を深めていくことの意味
歴史修正主義と文化相対主義
ドイツの「歴史家論争」
なぜ、侵略事実を認められないのか
2 植民地支配の歴史をなぜ忘れたのか
喪失される植民地支配意識
アジア太平洋戦争の位置
「アジア解放戦争論」の根拠
加害意識の希薄さの原因
再生産される「アジア解放戦争」論
虚妄の植民地解放の言説
アジア太平洋戦争の評価
アジア太平洋戦争の定義
帝国日本のアジア支配の実相
戦争責任不在性の原因
繰り返される「アジア解放戦争」論
歴史の記憶と忘却
3 植民地近代化論を超えるために
植民地主義をめぐって
「植民地近代化」論とは何か
「アジア解放戦争」論の精算を
歴史認識の共有化は可能か
信頼構築の方途を求めて
おわりに―― 過去の取り戻しとしての平和思想
【課題と提言:総括】
最終講 危機の時代をどう生きるのか~リベラリズムの多様性と限界性~
はじめに
リベラリズムの原点とは
私たちにとっての危機とは何か
未来を見据える鏡として
非武装平和への途
あらためての提言に換えて
あとがき
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