ダイオキシンは怖くないという嘘

¥ 1,800 (税別)

書籍内容

長山淳哉[著]
四六判上製/232頁/1800円
ISBN978-4-8461-0715-4 C0036

ごみ焼却場などからのダイオキシン汚染が深刻化するなかで、汚染対策を強く求める国民の声に押されて、議員立法でダイオキシン対策法が成立、国もようやくここ10年、ダイオキシン対策に取り組んできた。ところが一方で、こうしたダイオキシン対策は無駄、ダイオキシン法は悪法であるとか、ダイオキシン は恐くない、といった論調の本が次々と出版され、新聞までもが好意的な評価を加える事態となっている。このままでは、ダイオキシン問題をミスリードしかねない。
本書は、ダイオキシンは恐くない、環境ホルモン問題は空騒ぎ、ダイオキシン法は悪法という嘘を立証するため、その中心的論客である、中西準子(産業技術総合研究所化学物質リスク管理センター所長)、渡辺正(東京大学生産技術研究所教授)、林俊郎(目白大学人間社会学部教授)、安井至(国連大学副学長)ら各氏の論調を詳細に取り上げ、彼らの主張がいかに科学的に間違っているかを明らかにする。 (2007.10)

■目次
はじめに

第一章 ダイオキシンは空騒ぎか
中西氏のダイオキシンは怖くない根拠
私の研究への中西氏の “批判”
ダイオキシンによる胎児への影響
有害物質の人への影響は全重量当たりの濃度で評価を
急増する先天異常
複合汚染の影響

第二章 ダイオキシンは神話か
『ダイオキシン 神話の終焉』への私の抗議
問題のグラフ
厚生省の報告書を、よく理解してから発言してほしい
実際にデータがそのようになっていればそう言わざるを得ない
肝ガン死亡率で林氏が謝罪
林氏の肝ガン死亡分析の誤り
ダイオキシンは天然物か?
インディアナ大学の研究が示すもの
中西氏らの解析の根本的誤り
やはりダイオキシンは猛毒物質

第三章 ダイオキシン専門家は嘘つきか
「サリンの数倍」
どういう理由で「嘘つき」呼ばわりするのか
安井氏の「嘘つき」呼ばわりそのものが
はぐらかし
両者の根本的相違
安井氏の手前勝手な回答
遠山氏の総括
私への中傷とその反論

第四章 ある名誉毀損裁判
発端
抗議と謝罪
名誉毀損で提訴
伏線
環境ホルモン問題は早くも「精算」や「総括」できる問題か
中西氏の謝罪と不誠実な対応
言論の封じ込め?
中西氏の巧みな法廷戦術
最低限の社会規範を守れ

おわりに

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

ダイオキシンの怖さ

欧米に比べて立ち遅れたわが国もようやくこの10年、ダイオキシン対策に取り組んできた。だが、このところ「ダイオキシンは空騒ぎ」といった論調の本や報道が相次ぐ。その中心的な論客たちの主張を詳細に分析し、徹底的に反論している。 欧州連合(EU)は01年、最新の知見を採用し、ダイオキシンの耐容摂取量をより厳しくした。そんな世界の流れに逆行するような国内の論調への危機感から筆をとった。「ダイオキシンはあくまで象徴的な事例であり、その向こう側にある問題を知ってほしい」と長山さんはいう。 長山さんの論争相手は、いずれも国の科学研究の方向づけに影響力をもつ著名な学者である。収録された議論の応酬からは、環境問題に取り組む科学者の姿勢の違いが鮮明に浮かび上がる。 この国の行方を考えるためにも、ぜひ一読をすすめたい。

(評者:大矢雅弘「窓・論説委員室から」欄) ◉『朝日新聞』2008年1月9日夕刊より。

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