書籍内容
上岡 直見[著]
四六判上製/312頁/定価2700円+税
ISBN978-4-8461-2306-2 C0036
日本の鉄道創業から150年にあたる2022年、長年築き上げた鉄道ネットワークを破壊しかねない政府の方針が提示された。輸送量の少ないJRローカル線の廃止を促進する内容である。一方でJRは一人百数十万円の料金で豪華なクルーズトレインを運行している。
「一生に一度は乗りたい列車」より「一生乗り続けられる列車」を走らせるべきではないのか。このままでは新幹線と大都市の通勤路線しか残らず「時刻表が薄くなる日」が迫っている。
鉄道の活用による持続的な交通体系を考える。(2023.5)
■内容構
はしがき
本書の構成/用語と資料
第1章 時刻表が薄くなる日
コロナの影響/国の「かたち」が消える/鉄道は「赤字」なのか?/地域輸送の縮小/都市間輸送の縮小/「ハブ&スポーク」の弊害
第2章 公共交通の価値
交通は人権である/交通格差の実態/「ローカル線ヘイト」の背景/鉄道に「文化」は不要か/地域を変えた車社会/鉄道と安全
《コラム1》宇田郷駅
第3章 誰が「お客さま」なのか
「さっさとつめておしまい!」/誰が「お客さま」なのか/鉄道とは「駅」である/後退を続ける駅サービス/鉄道廃止と町の衰退/駅の「広場」機能
第4章 鉄道は「人」で動く
割れ窓理論/JR人員構成の歪み/機械は「人間」に代われない/「ひまわり号」がいらない社会/バリアフリーの多様性
《コラム2》「駅」こそ鉄道の命
第5章 鉄道に乗ってもらうには
乗らない理由/足し算とかけ算/乗ってもらうには/混雑と着席/役に立たないMaaS
第6章 バス転換は解決策ではない
バスは「わからない」/道路を整備するほどバスが不便になる/鉄道のバス転換は公共交通全廃と同じ/地域のバスネットワーク/BRTと自動運転/ライドシェアは有効か
《コラム3》「上岡直見」に行ってきた
第7章 鉄道とSDGs
交通と脱炭素/交通とエネルギー・CO2の基本/SDGsと交通の役割/JRの「脱炭素」/地方都市圏のモーダルシフトとCO2削減/EU圏の気候変動対策
第8章 鉄道貨物の活用
有事と鉄道貨物/鉄道貨物政策/鉄道貨物の活用法/JR貨物の経営上の制約/トラックドライバーの不足
第9章 すでに破綻したリニア新幹線
リニアはオワコン/財務破綻/中間駅の破綻
第10章 鉄道活用のための政策
方法論/日本の鉄道政策の経緯/分割民営スキームの破綻と有識者「提言」/「交通手段再構築」の評価/「地域」とはなにか/提案されているスキーム/収支以外の評価が不可欠/財源整備のスキーム/分野ごとの提言/「小さい交通」/道路空間の再配分/必要なサービスレベル/海外鉄道政策/政策に関するまとめ
あとがき
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