書籍内容
竹原あき子[著]
四六判上製/144頁/1800円+税
ISBN978-4-8461-2401-4 C0036
原因さえいまだわからない2019 年のノートルダム寺院の火災は、未来への警告だった。これから起こる世界の不幸の前触れだった。火災にはじまりパンデミックそして紛争と終わりを知らない不幸はヨーロッパから世界の隅々に不安の種をまきちらす。
本書は、「ノートルダム寺院の被災」に始まりコロナ禍・パンデミックを経て、ボートやトラックに紛れて欧州に向かう中東・ベトナムなどの「難民」——被災と災厄の世紀をパリの街角から見つめる。(2024.2)
■内容構成
はじめに
1 ノートルダム炎上
1 その日、二〇一九年四月一五日、2 暗かった寺院のなか、3 高層ビル建築禁止のパリ、4 3・11と9・11:二つの追悼式はノートルダム寺院で、5 金持ちの文化競争、6 建築家とアマチュアが挑んだ再建案とAR(拡張現実)展、7 思い出が被災した
2 フランス:原発被災、福島
1 大江健三郎、反原発行脚をパリで、2 静寂だった被災から一年の福島、3 情報はなぜフランスに?、4 危険を知っていたエアーフランス、5 フランステレビ班の驚き:婦人の買物、6 三宅一生:最後のファッションショー、7 カトリーヌ・ド・ヌーブおばさん
3 テロ対策と安全
1 テロは静かに、人質は神父、2 警察国家スイス。安全が観光資源
4 フランス政府のキャンペーンの知恵:恐怖
1 コロナを恐怖キャンペーンで、2 コロナ一時間の冒険は紙一枚、3 金持ちは避難:でなければ犬と散歩、4 悲劇のトリアージュと医学研修生、5 新幹線TGVが病院に:移動する野戦病院
5 難民のパリ
1 同胞を介護、2 アフガニスタンからパリの橋の下(フランス2、ラジオ番組二〇一〇年から)、3 アラブの春から始まった、命のスマホ、4 難民は積荷:パド・カレからイギリスへ、5 イギリスまでの片道料金:マフィアの請求書、6 アジア難民、カンボジア難民はポル・ポトから逃れて、7 リーさんの逃避行、8 リーさんの祖母は中国人
6 パリの移民と難民
1 ここには言論の自由がある、2 トルコの看護婦さん、3 スイス青年も
7 難民のゆくえ
1 難民のテント。セーヌ河畔の隠れんぼ、2 フランスの難民の数、二〇二二年だけで五〇万人、3 橋の下で、4 身を隠せば、5 新移民法のゆくえ
8 仏左翼でさえ知らなかった中国とソ連の労働問題
1 環境研究院:パリ、2 搾取された中国人労働者、3 ディオールの縫子はモロッコ難民、オートクチュールの労働、4 窓からセーヌを眺める老婦人
9 異色の移民。里子の訛り
1 コリアン・エアラインの床で、2 地滑り的変化:家族は崩壊した
10 フランスと中国の密かな戦い
1 ピラミッドの池:「立ちションとスリ」、2 偽造切符、3 中国人の観光客九〇年代、4 節約旅行のチャンピオン:オランダ人
11 戦争の置き土産
1 パド・カレの戦争記念碑。フランスの中のカナダ、2 「このまま死なせて」ダイアナ妃最後の願い、3 ブランクーシのパリ行脚、4 元難民が答える:ポンピドーはモダンが好きではない、5 ブルキナファソ、難民から植民地へ、6 元セネガル大統領サンゴールの孫娘
12 いまだに続くベトナム難民
1 ベトナム難民三九名の酸欠冷凍死、2 なぜイギリスを目ざす、3 ロシア経由の渡し屋:マフィア、4 カレ、フランスの北端で、5 四つの手段。渡し屋、マフィアの収入、6 渡し屋、借金とマフィアへの支払い
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